社会人なら常識?
「年末調整」っていったいどんなものですか?
なんだか難しそうな感じがして良く分かりません。
今更周りの上司にも聞きづらいので……。
やってまいりました年末調整シーズン
年が押し迫る頃になるとクリスマスと同時に訪れる恒例の年末調整シーズンが、今年も巡ってきました。
申告はぬかりなくやれていますでしょうか。
とは言っても会社から渡される書類の1~2カ所に記入するだけで、後の手続きは原則として会社がやってくれますから、何も難しい事はありません。
ただ言われるままに担当者にわたすだけです。
あらためて年末調整と言われても、ほとんど意識した事がないという人も多いはずです。
いつも会社まかせにしてきた年末調整ですが、わたしたち国民一人一人が国に支払うべき税金に関するデーターを記載しているものであり、意外と重要なものなのです。
お勤めしている人はすべて提出責任があります。
お勤めを現在している人は重要な部分のほとんどを会社にしてもらっていますが、もし独立もしくは自営業となった時に雇用関係が発生した場合は、自分でしなければならない作業なのです。
これを機に年末調整に関する知識を学んでみます。
年末調整とは
会社から2枚の申告書を手渡されているはずです。
これは”所得税法“の第190条から193条に記載されている法律にのっとって実施されるもので、12月末に所得税を再計算する事により、その過不足を調整する事を意味しています。
したがって計算によっては払いすぎた所得税が払い戻される事もありますから、提出はしておいた方が、結果的にはお得なのです。
事業者が誰かを雇用した場合は必ず提出しなければならない事になっています。
もしもうっかり提出しないでおくと本来は控除されるべきものが控除されずに、ずっと余分な税金を国に支払い続ける事になります。
また原則として1月から12月までの1年単位での申請となります。
年末調整は徴税都合
実は年末調整という制度を実践しているのは世界をみても、ほとんどないのです。
源泉徴収を実践している国であっても自己申告制です。
元々は一年分の所得税を納税者各自が確定申告すれば良いはずなのですが、納税者の所得税納付状況を一人一人調べるというのは、あまりに膨大な手間がかかり過ぎます。
そこで雇用主・事業者が所得税支払いと年末調整を代行する制度が生まれたというわけです。
したがいまして年末調整をきちんとしておけば確定申告は不要となります。
また年末調整する事により今年度所得税額が正式に確定します。
直接所得税を支払っているのは雇用主や事業者ですから、当の給与所得者は税を収めたという実感がわきにくい現状があります。
ただし給与年収が2000万円を越える場合や、2つ以上の事業所に二股で勤務してそれぞれで給与をもらっている場合、副業でも20万円を越える年収がある場合は、確定申告も合わせてしなければなりません。
控除される項目多数
民間の社会保険で支払った保険料、共済掛け金、配偶者、障がい者、勤労学生、扶養、寡婦など税金から控除される項目は多岐にわたっていますから、余すことなく記入してください。
医療費や寄付金、住宅ローンなど控除対象にならないものもあります。
確定申告との違い
年末に実施するものとして確定申告があります。
年末調整との類似点が多く混同しやすいのですが、明らかに違いますから、このあたりもしっかり理解しておいて損はありません。
年末調整の時と同様に一年間の給与所得を計算して申告するのが確定申告です。
これにより納税額が確定します。
年末調整はあくまでも給与を受けている人が対象ですが、確定申告は全国民が対象です。
さらに年末調整の時は、すでに所得税は事業者が代行して支払ってくれていますから過不足計算だけでいいのですが、確定申告にいたっては税金の後払い式になります。
一年分の税金をまとめて支払うとなるととてつもなく高額になってしまいますから、毎月分けての納税になります。
また一人一人の金銭管理が重要になってきます。
年末調整なしに確定申告だけでの納税も可能ですし、その逆もあります。